新しい近視進行抑制治療(マイサイトワンデー、ミヨスマート)
新しい近視進行治療が話題になっています。
今年5月発売されたリジュセア点眼に続き、近視抑制効果のあるコンタクトレンズ(クーパービジョン社製MiSight 1Day マイサイト ワンデー)と眼鏡(HOYA製MiYOSMART ミヨスマート)が、来年春に発売されることが決定しました。いずれも他国では何年も前から普及していた治療法でしたが、やっと日本にも!
当院では10年前からオルソケラトロジー治療を開始し、その後はマイオピン点眼を輸入し処方してきました。いずれも近視進行抑制効果があるとされましたが、正式に近視抑制効果をうたったものでないため、自費診療として扱ってきました。
通常のコンタクトレンズと眼鏡は保険診療の範囲内で処方可能であり、やっと近視進行抑制治療の選択肢が出そろってきた感があります。
マイサイトは、近視を矯正する度数と、遠視寄りのぼやける度数が同心円状に入ったコンタクトレンズで、使い方は通常のコンタクトレンズと同じです。遠近コンタクトレンズのような構造のため、通常のコンタクトレンズよりぼやけると感じるかもしてませんが、子供は慣れやすいので乱視が強くない方には問題ない程度だと思われます。10時間以上の使用が勧められています。近視抑制効果は50%ほど眼軸の伸びを抑制できるとされ、中止後にリバウンドが出なかったというのが驚きです。
ミヨスマートは中心の近視矯正部分の周囲に、やはり遠視寄りに焦点するするDIMSゾーンがある構造です。日本のメーカーのも関わらず、数年前からDIMSレンズとして他国では子供の眼鏡として多く処方されていました。
お子さんは眼鏡がゆがんだり、鼻眼鏡になったりすることがありますが、適切に良い位置に眼鏡がないと効果が出にくい構造です。目への合併症は限りなくゼロのため、安全第一という方には合っています。
先日メーカー主催の講演会で近視治療の現状についての講演を聞いてきました。
現状のベスト治療は、
オルソケラトロジー、マイサイト、ミヨスマート等の承認された眼鏡。
次善の治療は
0.025%アトロピン点眼、EDOFコンタクトレンズ
だそうです。
0.01%アトロピンは治験では有意差はありますが、効果があるとまでは言えない程度。
強度近視は緑内障や網膜の病気のリスクを高めるため、近視になる前段階(Pre myopia)から治療を開始する意義があるとのことでした。近視の有病率は日本人での正確なデータはまだないのが現状ですが、子供の近視は低年齢化と共に数が増加がしており、14歳では8割が近視とのデータもあります。では近視抑制はいつから始めるべきなのか?
当院でリジュセアは明確な年齢制限はありませんが、就学前後の6歳以降に処方としています。
オルソケラトロジーは扱いが難しいため、8歳以降に処方としています。
通常のコンタクトレンズは、常用は中学生からとしています。アレルギーなど眼病がなく眼鏡と併用ができる方であれば、運動時などに使用時間を制限して、小学生でも10歳から可能としています。
では新しい治療法がどうかというと、
ミヨスマート眼鏡はどんな年齢からでも(幼児や未就学児から)可能だと思います。
マイサイトは、コンタクトレンズ装用が可能なら8歳くらいから可能かと思います。
いずれも眼科専門医による処方や検査が必須になります。


