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3月 24, 2016

甲状腺眼症研究会 2016

オリンピア眼科病院の甲状腺眼症研究会に出席しました。

一般の眼科では検査や治療が難しい甲状腺眼症のトピックスや、

新しい知見を聞くことが出来ます。

今回の眼科領域の講演は、私もお世話になった井上立州先生の

「難治性の甲状腺眼症」についての講演でした。

ステロイドパルスなどの全身投与後に、抵抗性(炎症が残り効果不十分のこと)であったり、

再燃(症状がぶり返す)を繰り返す難治性の甲状腺眼症の特徴を検討した内容でした。

結果は約3分の1が初回治療後も再治療が必要な難治性でした。

難治性の症例では、甲状腺自己抗体(TSAb 甲状腺刺激抗体)の高値と喫煙が関連したという結果でした。

バセドウ病などの甲状腺眼症を起こす病気は自己免疫疾患とよばれ、

自分の体に反応し攻撃する抗体(自己抗体)が産生されるのが原因です。

自己抗体が高いときは攻撃する相手が多いのと同じで、

防御(ステロイドなどの治療)が効きにくいのです。

自己抗体の高さは体質のようなもので、同じ治療をしても治療効果には個人差があり、

抗体が高い方は甲状腺眼症の発症を注意する必要があります。

甲状腺のホルモン値が正常でも抗体だけ高い場合や、

アイソトープ治療や手術などで甲状腺機能が正常化しても抗体だけが高い場合も、

眼症だけ悪化する事があるため、自己抗体を確認しながら治療を継続することが大切です。

たばこも以前から甲状腺眼症の発症や悪化の原因といわれています。

自己抗体はなかなか自分で減らすことが難しいですが、

たばこは自分の意志でやめられます!

禁煙治療は保険治療になっていますから、ぜひ禁煙にチャレンジしてください。

kinnenn

 

 

 

 

3月 8, 2016

iPS移植手術

東京都眼科医会の講演会で、2014年9月に世界初のiPS移植手術を行った、神戸市立医療センター中央市民病院の栗本康夫先生のお話しを伺う機会がありました。

STAP細胞問題で逆風が吹く中で行われた手術は、将来につながる治療法として画期的であるとともに、眼科医としても誇らしいものでした。実際どうやるのだろうと以前から興味がありましたが、講演では手術手技の実際や、実施に至るまでの紆余曲折、現在の経過や今後の展望を解説され、患者さんを救いたいという熱意を感じるお話しでした。

すごいなと思ったのは、移植シートを入れる器具が医療器具として認可されたものである必要があり、新しい器具の認可を待っていては手術に間に合わないため、サーフロー(点滴で使う注射針の外筒)を工夫して使ったというお話しでした。

「下町ロケット ガウディ計画」みたい!と思ったのは私だけでしょうか。。

中央に黒く見えるのが移植されたiPS細胞のシート

中央に黒く見えるのが移植されたiPS細胞のシート